メオトカフェ

中年倦怠期夫婦の「カフェ道」

【ひとりごはん】今さらだけど…出会ってしまった!

時々、平日休みの日がある。

オットは仕事、子供は学校、一人きりのパラダイス…は、たいてい平日の方が好都合な用事を片付けたり、どうしてもの家事だけをして、なんとなく終わっていく。

ワタシは回遊魚的主婦ではなく深海魚タイプなので、たとえ埃を目にしたとしても、すぐに掃除機を出したりしない。一度、目をつぶる。深海で静かにしていれば埃も舞うことはないのだ。

 

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そんな平日休みのある日、用事の合間にお昼を買おうと立ち寄ったコンビニで、出会ってしまった。

なんだかピンとくるものがなくて、「どうしようかな~。このまま出るのもな~…」なんて思いながら、店内をクルクルしていた。ああ、わたしは深海に静かに佇むオンナのはずなのに…何周目だ?

悶々としながらサンドイッチの陳列棚の前に来た時だった。

 

目が合った。

 

同時に手が伸びた。

初めてだけど、すぐにわかった。そう、求めていたのはきっとこれだった。

 

「雷に打たれたような」とか「ビビッときた」とか、それはきっとこういう時のことを言うのだろう。

 

悶々の理由は、自分が何を求めているのかわからなかったからなのかも知れない。

でも出会った瞬間、気づいたのだ。

「ああ、今ピザの気分、ワタシ。」

 

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迷うことなく連れ帰ったそれには『ブリトー モッツァレラたっぷりマルゲリータ』とある。

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ブリト―の意味はまるで知らないが、マルゲリータが魅力的だった。

 

表示のとおり袋を少しカットし、1分少々レンジで温める。

紙のトレーに乗せたまま食べられる仕組みになっており、手が汚れることもなさそうだ。

 

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「いただきまーす」とそれを顔の前まで近づけた時、微かに小麦ではない何かの香りがしたが、何だかわからないまま、パクリ。

 

「チーズ!!!」

モッツァレラチーズが存在感を前面に出してくる。

生地は食べてみれば香りも気にならず、見た目の薄さとは裏腹に具材をモッチリと包み込み、縁の下でいい仕事をしている。

トマトソースは味を決める主役でありながら、控えめに両者を繋ぐことに徹している。

三者のハーモニーが素晴らしく、お店のピザにも引けを取らない美味しさだ。

 

『完熟トマト使用のソースとたっぷりのモッツァレラをもちもち生地でつつみました』

 

すっかり完食してからパッケージを見ると、このように書いてあった。

そうです、そのとおり。最初から書いてある。それ以外のなんでもない。

なのにこの感動はどこからくるのだろう?

チーズなのか…?

何度も食べたことがあるマルゲリータだけど、これほどモッツァレラチーズの存在感を感じたことはなかったかも知れない。

それとも生地…?

そもそもブリト―って何なのだ。(またの機会に勉強しよう)

美味しさの余韻と謎に浸りながら、軽い昼食を終えた。

 

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夜、帰宅したオットに今日の昼食について熱量たっぷりに語ると、

「ブリト―ってずいぶん前から売ってるよな?」と一言。

 

「ええっ⁈そうなの⁈」

「前からあったよ、サンドイッチのとこだろ?」

 

なんと…ブリト―シリーズ、30年以上も前から発売されているらしいじゃないか!

ウッカリにもほどがある。

 

オットがワタシより先にこの“新しい商品”を知っていたという衝撃を超える衝撃だ。

 

「ワタシ、(フルーツサンド以外)コンビニのサンドイッチ好きじゃないからね…棚に近づかないからね…」

言い訳しながら落ち込むワタシに、オットが声をかける。

「そんなに嬉しいことがあったなんて、よかったじゃないか」

 

うう、確かに。

この人は年に一回くらい、いいことを言う。

 

例え三十余年、知らずにいたとはいえ、わたしたちは今日出会い、素敵な午後のひと時を過ごしたのだ。

 

マルゲリータは食べたことないな。そんなに美味しかったんなら、オレも食べてみたいな」

 

うん、食べてみて。ワタシがお弁当作りをさぼった日に。

 

 

また目が合えば、ワタシももちろん、何度でも連れ帰りたい逸品だ。