メオトカフェ

中年倦怠期夫婦の「カフェ道」

第2回 【感染予防のドライブスルーカフェ】 初めてのチョコレートチャンクスコーンとともに。 

2月半ば、中年倦怠期夫婦のカフェ道は、2回目にして「まん延防止重点措置」の真っただ中。

マジメな田舎の夫婦、ここは固い道を選ぼう。

 

お店での非日常の雰囲気は、気分を盛り上げるのに大切な要素なので残念だけど、仕方ない。

 

そこで今回利用したのはこちらのカフェ。

 

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おそらく、おそらくはカフェチェーンの王様ではなかろうか?

王様のカフェ…でなくカフェチェーンの王様を今回のカフェと決めた途端、残念な気持ちはウキウキに変わった。

わたしたちがこの王様カフェを利用するのは、多くても年に1~2回だと思う(ゼロの年だってある)。滅多に利用しない。

お金を払って休憩する習慣がない地方者にとって、そこそこのお値段がする、チェーンカフェの中でも「最も都会的でオシャレな方々が利用するカフェ」というイメージのこの店は、ご近所であってもなんだか敷居が高いのだ。

利用したとしても小さいサイズのドリップコーヒーとカフェラテを買い、二人ひっそりと車で飲む(ドライブスルーと変わりない…)のがほとんど。「コンビニのコーヒーでいいのに」、というオットの一言とともに。

 

でも、今日は違う。

月に一度の公式?カフェだ。デート要素も含んでいる。少しの贅沢は許されるはずだ。

その場の気分や雰囲気でメニューを決められたらいいのだろうけど、そもそも詳しくない上に、ドライブスルー。オットはもちろんNo知識。マイクの前で焦ること必至だ。

 

軽く予習した。

 

ビバレッジメニュー(ビバレッジは水以外の飲み物のことを指すそうだ。へぇ~)はフラペチーノ(コーヒー、ミルク、クリームなどを氷と一緒にミキサーにかけた、冷たい飲み物。王様カフェの商標登録となっているんだそう。へぇ~)を除けば、ラテが人気上位の模様。いろんなメニューを試したわけではないのに恐縮だが、自分の「好き」が認められたようで少し嬉しい。

いつもは節約Short(240ml)サイズだけど、今回は一番人気があるサイズという「Tall(350ml)」サイズにしようかな?ラテには、はちみつを入れても美味しいらしい。

フードメニューはこれまで一度も食べたことがないけれど、今日は注文してしまおう。食後の予定だし、コーヒーのお供に甘いもの、定番人気という「チョコレートチャンクスコーン」はどうだろう。(チャンクはぶつ切り、かたまり、厚切りといった意味だそう。へぇ~)

 

以上、常連さんからしたら「今さら?」というような浅い知識を詰め込んで、いざ出陣。

車中でオットにホヤホヤの知識を披露。

「それで、何にする?」と尋ねると、いつもはドリップコーヒーオンリーのオットだが、「オレもそれにしようかな」と即決。いつも何の下調べもしてくれないが、こういう時、素直なのは彼のいいところなのだ。

かくして仲良く同じメニューでゆくこととなった。

 

車の窓が開く。

「いらっしゃいませ、ご注文は?」

 

オット:「えーっと、○○カフェ」

ワタシ:「○○ラテ

オット:「ああ、○○ラテ、二つ。ホットで」

ワタシ:「はちみつね」

オット:「ああ、はちみつお願いします」

 

「はちみつは混ぜてしまってよろしいですか?」

ワタシ:「ハイ!お願いします」

囁き女将、運転席のオットを飛び越えて応答。

 

オット:「あと…」

ワタシ:「チョコレートチャンクスコーン」

オット:「ああ、チョコレートのスコーン」

ワタシ:「二つで!」

ふたたび飛び越える。

 

「スコーンは温めはどういたしましょうか?」

ええい、三度目、

ワタシ:「お願いします!!」

 

予習しても全くスマートでないが、無事目当てのものを注文し、いつもの王様カフェの利用料からしたらびっくりするような金額を支払って、「王様ラテと、チョコのぶつ切りが入ったスコーン(それともチョコレートの厚切りスコーン?)」はワタシの膝の上にやってきた。

 

真冬に外でコーヒータイムを楽しめるほどこの地は甘くないので、少し見晴らしがいい高台までドライブして、車中でいただくことにした。

 

まず、ラテを一口。

そう、これこれ。コクがあって、ミルク感がとてもいい。さすが、王様の冠を載せた名前を持つラテだけはある。

「美味しい。お値段だけのことはあるよね」

 

続いてスコーン。

 

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「ウマっ!」(オットでなくワタシ…)

「男らしいな」

何とでも言ってくれ。

外はサクッと、中はしっとり。ちょっぴりチョコが溶けて美味しい。ボリュームも満点だ。

「この甘さなら、はちみつ控えめでもよかったな…」

「でも、どうせ入れてもらえるならいっぱいの方がいいだろ(お得だろ)」

 

甘党のオットとそうでもないワタシ。

どうせ無料なら大盛でと思うオットと、美味しいための適量がいいと思うワタシ。

そんな些細な嗜好や考えの違いが気になるのも、同じ空間で同じものを食べるからこそなのかもしれない。

街並みを見下ろしながら話したのは、やはり特に面白い話でも何でもなく、他愛ない子供のことだった。(現時点で子供の話題を抜くルールにしたら、とても静かになりそうなのでそっとしている…)

 

今回のカフェ、ちょっと奮発した以外、特別感はなかったかもしれないけど楽しかったな。とりあえず、王様ラテとチャンクスコーンは覚えたし。

少しの緊張と焦りの中、二人でモタモタと注文するのも悪くない。まるで中年夫婦の「初めてのおつかい」だ。

 

「年をとっても、知らないことってまだまだたくさんあるね」

帰り道、つぶやいた。

もちろん無言のオット。

 

そう、これが私たちの いつもの帰り道。