第16回 【女王様?のランチカフェ】凸凹だから上手くいく
誕生月だ。
今月は先月に次ぐ贅沢カフェ。
静かな住宅街の中でひときわ賑わうこのカフェは、もとは八百屋さんらしい。
野菜や果物がふんだんに使われたメニューの中からワタシが選んだのは、
アボカドのクリームパスタ。
アボカド大好き。
アボカドは年中スーパーで手に入るけど…最近このメニューが登場したということは、今が旬なのかしら?
オットは迷いに迷って、デリランチ。かぼちゃのスープ付き。
もちろん野菜たっぷり、栄養満点のボリーュム満点。
そしてこのランチの他に…
八百屋さんならではのフルーツジュースと
ミニパフェ(誕生日だから、どさくさに紛れて…)つき。
高台にあるカフェの一面ガラス張りの窓からは、下に続く住宅街が見渡せる。
海が見えるでも山が見えるでも、森があるでもない。
なんてことない営みの景色。
だけど、最高だ。
天気がよくて、美味しくて、見晴らしがいい、ただそれだけで。
さほど会話がなくても。
今日のデートプランを立て、このお店を探したのが自分自身だったとしても。
すごいスピードでパフェを平らげた目の前のこのヒトは、妻のためにお店をリサーチすることも、デートプランを練ることもしない。
これまでもなかったし、これからもないだろう。
サプライズなんて、もちろん一度もない。
少し前までは、不満やら疑問やらフツフツとしたものがあったが、やっとわかってきた。
このヒトにはそういう力があまり備わっていないのだ。
リサーチや準備、計画と言うものをまるでしない。年中無休でノープラン。
一方、ワタシはと言えば、この日出かけるとなったら調べまくり、天候や気温、体調、花粉の飛散具合にまで気を配り、数種類のプランを用意する。
たまの休みにせっかく出かけるなら、その時を楽しみたいと思うのだ。
正反対の2人。
どちらがいいとか悪いとかでなく、これはきっと“そなわり”なのだと気付いたのは、つい最近だ。
そう思ったら、オットが何も用意してくれないことに腹正しさも寂しさも感じなくなった。
いや、穴だらけの、意にそぐわないプランを出されたら、ワタシの性分からしてむしろイラっとするのではなかろうか。
ワタシが計画を立て、オットは黙って乗っかる。
デートは男性がリードするもの、誕生日は祝う側がもてなすもの、というような概念を取っ払えばいいだけだ。
結果、ワタシは思いが叶って満足し、オットはワタシに付き添うだけで新たな体験ができる。
傍目にはわがまま妻が気弱なオットを振り回しているかのように見えるかもしれないけれど…違うんですのよ。
互いの凸凹が埋まり、ワタシ達にはきっとこれがベストなデートのあり方…のはずなのだ。