第4回 【いちごパフェと春カフェ】 甘酸っぱい?胃もたれする思い出
4月…なんだかんだと気ぜわしい。
なんで4月に何でもかんでもリセットされるの!と言いたくなる。
ちょっと油断すると、机の上はすぐに書類の山だ。
年度ごとの変化があるから新鮮な気持ちにもなれるのだけど、年を重ねるごとに変化に順応するのが難しくなっているのを感じる。
月に一度は実行と決めたオットとのカフェデートだが、なかなか時間が取れないでいた。
終わってしまう…
4月が終わってしまう…
1回休み!にできなくもないけど、一度休んだらこのまま長期休止になってしまう気もする。
週末。洗濯物を干しながらオットに声をかけた。
「今日、どう?午後から。チャチャッと」
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ということで、チャチャッと出発。近場のカフェに出かけた。
日用品の買い物をして夕方までに帰らねばならないので、そうのんびりもできない。
だから出発前から決めていた。
「今日はいちごパフェにする」
4月といえば、なんとなくイチゴ(世間ではもう少し前?)。理由はただそれだけ。
オットは、スタバラテを味わって以来、家でも外でも専らカフェラテ。
カフェは混んでいたが、比較的早くそれらは運ばれてきた。
オットの前にカフェラテ、ワタシの前にパフェが置かれたのを見て、オットがつぶやいた。
「何でオレがコーヒーで、そっちがパフェって思うんだろうね。逆かもしれないのにさ。」
確かに。男がコーヒーで女が甘いもの、というのは古い思い込みかもしれない。ずいぶん前からスイーツ男子という言葉だってあるというのに。
ふと、付き合い始めたころのことを思い出した。
映画のあとに入ったカフェで、オット(当時カレ)に何にすると聞かれ、お腹もすいてなかったのでコーヒーを選んだ。
「じゃあ、オレは…」
メニューを見ながらオット(当時カレ)はチョコレートパフェとココアを注文した。
チョコパフェとココア?
チョコパフェとココア?
チョコパフェとココア?
まだ付き合い始めで突っ込めなかったけれど、びっくりしたことを鮮明に覚えている。
そして、カレはメニューを閉じてニコッと笑った…
当時スイーツ男子という言葉があったかどうか定かでないけれど、「チョコパフェとココア?」の前後には「パフェon甘い飲み物?!」の純粋なビックリだけでなく、「男の人なのに?」という、ワタシの偏見が潜んでいたのだということに、今気づいた。
あれは私たちの「初カフェ」だった。
その後、私たちは夫婦になった。
今回オットがパフェを注文しなかったのは、財布がひとつになったからだろう。
おっさんがパフェ食べていいのか、という自制心が働いているのかもしれない。
なんだか急に不憫になって、「食べる?」と向かい合ったテーブルの真ん中にパフェを差し出すと、カフェラテに添えられたスプーンを手に、遠慮がちにつつき始めた。
1つのパフェを二人で食べる中年夫婦の横を通り過ぎた店員さんが、「もうひとつ、スプーンお持ちしましょうか?」と笑顔で声をかけてくれたが、小恥ずかしくて丁重に断り、残りはオットに進呈した。
カレ(現在オット)はいちごパフェをペロリと平らげて、ニコッと笑った…