【読書の秋にブックカフェ】 信州上田の「本と茶 NABO」で過ごす午後
まだ半袖でもいられた、10月初旬。
初めてのブックカフェを訪れた。
長野県上田市にあるこのカフェは、本の買取と販売を行うオンライン書店「バリューブックス」さんの実店舗なのだそうだ。古本はもちろん、新書も販売されている。
先日、駅の構内の書店で見つけた雑誌で日本茶の特集がされていて、「日本茶のカフェもいいなあ…」と探していたところ、このお店にたどり着いた。本屋だけど茶葉も販売されており、店内で飲めるらしいのだ。場所を検索すれば、上田。行くじゃないか、近々上田に。
上田の園芸店に苗を買いに行く予定なのだ。
これは運命だ。
「神のお告げ」とまでは言わないが、巡り合わせというものはあると思う。巡ってきた無理のない出会いは、いいものになることが多い気がする。
ここ最近、ワタシはお茶の時間にはまっているだけでなく、本を読む時間も持つようになっていた。
本×お茶、行くしかない!
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本業は本屋さんだと思われるのにお茶からの検索で申し訳ない気もするが、運命の店に到着した。
お昼開店のお店には一番乗りで、他にお客さんはまだおらず。
写真を撮っても大丈夫か尋ねると、「どうぞ、どうぞ」と快諾してくださった。
「普通の本屋と同じで本も買えますし、お席で読んでもらってもいいし。よかったら、カフェもやってます。」とビギナーへのお店の説明のあとは、自由に放牧?してくださったので、店内をゆっくり見せてもらった。
ジャンルごとにいろんな本が並んでいる。
今のワタシが気になるのは、このあたり…
ところどころに、カフェスペースがしつらえてある。
たっぷり1時間ほど店内を散策し、喉も乾いたところでお待ちかねのお茶タイム。
「以前は本とコーヒーの店だったんですけど、いろいろ迷走期もありながら、今は本とお茶の店になりました」とニッコリ笑うカウンターのおねえさん。
日本茶の他、中国紅茶や台湾烏龍茶などもあって、飲み慣れないので何を注文していいか迷ってしまう。
モタモタしていても、後ろに人が並んでいるわけでもなく、店内は“ほどよい人加減”で焦ることもない。試飲させてもらったり、ニッコリおねえさんに教えてもらったりしながら選んだのは、中国の「雲南古樹紅茶」、桃の果実入り。
とっても美味しそう、、、
一口飲んで、「ウマっ!」と思わず声が出てしまった。紅茶の渋みが全然ない。桃の果実とシロップが入ってはいるものの、お茶の甘みを感じる。
ワタシの数少ない紅茶経験の中では第一位に間違いない。
この日は暑かったので、冷たいアイスティーがさらに美味しく感じられ、ゴクゴクと飲み干してしまった。ブック読みながらなんてムリ…。
グラスは空っぽになってしまったけど、傍らの窓辺にもお楽しみはたくさん。
眺めていると、ドライフラワーにも挑戦してみたくなった。
この上田でさっき買った植物たち、ワタシにもこんな風にできるかしら?
二軒お隣の「バリューブックス・ラボ」では、実店舗やインターネットでは売ることはできない状態なんだけど、十分読めますよ、という本たちが50円とか100円とかで売られており、
1ドリンクにつき1冊差し上げますとのことで、こちらもゆっくり見せていただいて、息子が一生懸命探し出した3冊(3人分)をいただいた。
「本を買い取って売る」という“商売魂”だけでなく、“本をあるべきところへ、求める人のところへ、届けたい。届けばいいな。”という空気や想いが、店内に流れているような気がした。
だけど決して押しつけがましくなく、店は田舎の路地にそっと佇んでいる。
古本中心なので、必ずしも探し求めている本が置いてあるわけではないが、それもまたいい。「今じゃないのかな」と思えばいいし、逆に求めていなかった本に出会えば、それがタイミングなのかもしれない。
本、そしてお茶と“めぐり合わせる”場所とでもいう感じ。
一度足を踏み入れたら、何度でも通いたくなってしまう居心地のいいブックカフェだった。
楽しみむことたっぷり2時間。名残惜しいけど、この日出会った日本茶の本と、おいしかった中国紅茶(日本茶のタイミングではなかったらしい…)を自分へのお土産に購入し、お店を後にした。
うまく淹れられるかわからないけれど、しばらくは余韻に浸ることができそうだ。