外国人から見た「日本の紅葉」
日本の中では、比較的冬が早くやって来る地域に住んでいる。
身辺がごたついている間に、美しい紅葉の時期は終わっていた。
そんなある朝、TVで「紅葉を見るために日本に旅行に来た」という外国人たちに、「自国の紅葉と日本の紅葉、どう違う?」というインタビューをしていた。
ワタシは朝食後の皿洗いの最中だったが、TVの音量を上げた。
様々な国からやってきた外国人たちは、一様に「日本の紅葉はいろんな色が混ざって美しい。イッツ カラフル」と感想を述べていた。
へぇー、そうなんだ。
海外の紅葉に触れたことのないワタシは、「イッツ カラフル」な紅葉は日本独特の光景らしいことを初めて知った。
緑、黄色、オレンジ、赤…いろんな色が混ざり合っているのが、珍しいのだそうだ。
海外では同じ木が並んでいて、紅葉も同じ葉色ということなのだろうか?
諸外国に比べ、画一的な教育がされ、長い間多様性というものを認めてこなかった日本だけど、そこ(紅葉)は違うんだという意外性もあった。
今年は「終わっちゃったな」とあきらめていたけれど、無性に見たくなった。
もう遅いかもしれないけど、出かけてみよう。
平日休みの日、一人でカメラ片手に近所へ散歩に出た。
陽が差してきた。
紅葉スポットじゃなくても、陽が当たっても当たらなくても、虫食いでも、緑でも赤でも黄色でもオレンジでも、枯れた葉の茶色も含め、確かに「イッツ カラフル」。
美しい。
もうピークは過ぎてしまったなんて言わずに、出かけてよかった。
たとえピークの美しさだったとしても、同じ木に、同じ葉色じゃつまらない。
混ざり合って、美しい。
できれば若く美しく、健康な緑やオレンジのパートを担当したいけれど、受け持った人生は順番に、茶色のパートへと進んでいく。それはこの美しく紅葉した葉っぱとて、同じ。こればかりは仕方ない。どうあがいたって、以前のみずみずしい葉っぱには戻らないのだ。
若くして散る葉もあることを思えば、茶色になるまで人生を全うできるのは貴重なことだ。広い心や数々の経験を活かし、クッションのようにそっと若者を受け止めることだってできるかもしれない。
気付けば、「みんな違って みんないい~」のフレーズが頭の中でリピートしていた。
人生も秋にさしかかったオバちゃんの散歩の帰り道は、いくらか足取りが軽くなっていた。