大人女子、今さらだけどヤンニョムチキンを食べた
初めて「ヤンニョムチキン」を食べた。
このところ、よく見かけてはいた。
韓国料理であるらしいことだけは知っていた。
ずっと、ものすごく、気になっていた。
近隣に韓国料理専門店はない。
ヤンニョムチキンデビューをスーパーの総菜や冷凍食品にしたくはないという思いから、なかなかありつけないでいた。
そんな時、それを提供しているカフェを知った。韓国の方に教わり、調味料や香辛料も取り寄せて作っていらっしゃる様子。
これは、現時点・現環境でのベスト・ヤンニョムチキンなのではないか。
行ける距離だ。
今日のお昼は、ヤンニョムチキンだ!
次男と二人の休日。ドライブがてらカフェに向かい、テイクアウトしてゆっくり家でいただくことにした。
パン嫌いの次男はカフェが好きではないけれど、「お肉のお弁当を買いに行く」と言ったら喜んで車に飛び乗った。膝に温かいチキンを乗せて、帰り道もご機嫌だった。
帰宅して、さあ、オープン!
もうちょっと“ベチョッ”とした外観を思い浮かべていたら、サクサク感も残っていそうな衣の雰囲気。美味しそうだ。これはたぶん、みんな好きだ(皆さんもうご存じです)。
「いただきまーす」
夏休みのご機嫌ランチ。
初めてのヤンニョムチキンは、甘辛・ピリ・ジュワッと美味しかった。本場のを食べたことがないから、どのくらい日本人向けに寄せてあるのかわからないけれど、日本人に馴染む味だと感じた。
文化も違い、時に折り合わない認識もある国だけど、口の中にはお隣り感がいっぱいにあふれていると感じる。仲良く暮らしていくうえで、「味のベースが合う」ってけっこう大切な要素だったりするから、ご近所の国に美味しい料理があって嬉しいなあと素直に思う。
ワタシ世代が韓国を最も身近に感じたのは、ドラマ「冬のソナタ」が放映されていた2003~2004年頃の第一次韓流ブーム(2020年以降は第四次ブームなんだそう。)のあたりだと思う。それまでワタシの知っていた韓国料理と言えば…恥ずかしながらキムチ、ビビンパ、韓国海苔(料理じゃない?)の3点セットくらいだったのだけど、その後韓国文化がどっと流入し、プルコギ、トッポギ、サムゲタン…という具合に聞き慣れない名前の韓国料理を知ることになった。
知ることになった、と言っても文字通り名前を知っただけで、ほとんど食べたことがない。チーズタッカルビが流行した時も食べなかった。どうしてこれまで食べる機会がなかったのかわからないけれど、日本語では想像しがたい独特なカタカナの羅列が、得体の知れなさを醸し出しているのかもしれない。
それでも最近よく食事作りの参考にさせてもらう、コウケンテツさんのYouTubeチャンネルで「キンパ」の“キン(キム)”は海苔、“パ(パム)”はごはん、要するに海苔巻き(海苔ご飯)ということを知り、当然だけど、カタカナの羅列にも意味があるのだと親近感がわいた。コウケンテツさんもカタカナだけど、ゆるゆると優しい語りで(ちょっと天然?)特別なものを使わず美味しい料理を作ってくれるので、これまた親近感がわく。食べてみたらキンパもすごく口に合い、時間があるときは作ったり、見かけたら買ったりして時々味わっている。ワタシは日本の海苔巻きより好きかも知れない。
「冬ソナ」からかれこれ20年。その間、K-POPやドラマなどのブームが幾度も来たと思うが、閉じていたワタシの韓流のドアをノックしたのは、遅ればせながら新しく出会った韓国の味ヤンニョムチキンと、ヨン様に見えなくもないコウケンテツさんだった。
先日、同世代の中でドラマ「梨泰院クラス」の話題が出た時、「何それ。わたし、冬ソナしか知らない」と言った大人女子がいて、みんな同じだったので大笑いした。聞いたことあるけど食べたことない韓国料理と一緒で、ワタシも「聞いたことあるけど見たことない」状態なのでもちろん同じ。
あの頃本当の女子だったワタシ達は、その後仕事や家庭のことに忙しく、しばらく腰を据えてドラマを見たり、ピリ辛料理を楽しんだりしづらいライフステージにいたのだと思う。
トレンドを押さえることをさぼっていたのかな?
なんだかわからないけど日々一生懸命走っていたら、こうなっていたのだ。
この頃では大人女子にも磨きがかかり、少しくらい流行りに後れたってどうってことない、自分が見たいと思った時、食べたいと思った時が流行だ!と思える図太さを身につけ、若い頃よりも、自分のペースで人生を楽しめるようになった気もする。
そんな大人女子を、人は「オバサン」と呼ぶのかもしれないけれど。
気まぐれな大人女子、20年ぶりに開いたドアがいつまた閉まるかもわからない。
まだ食べたことがないままでいる他のカタカナ韓国料理にも、いい加減挑戦してみようかな。